0人が本棚に入れています
本棚に追加
流星群ラジオ
やまと そら
「ヒイラギって、本当に変わっているよな」
グリク先生の宇宙学の授業中に、となりの席のクズリがそう言った。
ぼくは少しむっとして、グリク先生がこちらを見ていないのを確認してから、クズリの方へ顔を向けた。教室は明かりを消して薄暗くなっていたが、授業の用意をしているグリク先生の様子がなんとか見えた。
「どういう意味さ?」
「宇宙学が好きな十歳の男の子なんて、どうかしているってこと」
「なんで? おもしろいじゃない?」
こほん、とせき払いが聞こえたので、ぼくは急いで顔を前へ向ける。
グリク先生がビン底眼鏡を押し上げて、ぷっくりとシャボン玉をふくらませた。大きくふくらんだ玉は、黄色く光を放ってぷかぷかと浮かび上がる。
「えー、これを恒星とする。銀河では、恒星の周りを惑星がぐるぐると回っているのだ。どれ、やってみよう」
グリク先生はまたシャボン玉をふくらませて、赤や青の惑星を宙に浮かばせた。それらは、黄色い光を受けてぼんやりと輝きながら、最初に浮かばせた恒星の周りをゆっくり回り始める。ちょうど、ぼくの頭の上を六番目の惑星が通りすぎた。
「宇宙学の内容もおもしろいけどさ、こんなに魔法をふんだんに使うのはグリク先生くらいだよ」
「内容は難しいだろ。でも、魔法のことは認める。あーあ、おれたち子どもも魔法を買えたらいいのに」
クズリは机の上につっぷして、ため息をついた。
子どもには不思議なものを見つける才能があるから、魔法なんて使わなくてもいいんだ。そう、ぼくの父さんも言っていたけれど、やっぱり魔法が買えたらなって、ぼくも思う。
最初のコメントを投稿しよう!