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「さて、諸君。来週はテストにしようと思う」
教室の明かりがつき、ドーム型の天井が透けて青空が頭上に広がった。ぼくは気分よくうなずいたが、横ではクズリが頭を抱えていた。
「どうしよう! ぜったい赤点だ!」
くすり、と笑って、ぼくはある提案をした。
「じゃあさ、今夜、いっしょに天体観測しようよ」
丘の上の天文台のふもとで、ぼくは草の上に寝転んで満天の星を見上げていた。濃紺のじゅうたんの上にダイヤモンドのかけらをこぼしたみたいな星空で、ぼくはうっとりと目を細める。
その横で、クズリは一生懸命ラジオをいじっている。
「ほら、あの星を見てよ!」
「うーん」
さっきから、クズリから返ってくるのはこの返事ばかり。
「ねぇ、クズリ、何しているのさ?」
「母さんからラジオを借りてきたんだけれど、使い方がわからなくてさ」
「なんでラジオなんて借りてきたのさ」
クズリがきょとんとした顔をして、こちらを見る。
「だって、星ばっかり見ていてもひまだろう?」
まったく、何をしに来たと思っているんだ。ぼくは大げさにため息をつく。
〈ジジジッ……〉
「あ、ついた! ヒイラギ、ついたぞ!」
クズリが弾んだ声で、ぼくの服をひっぱった。
〈ジジッ……みな…ん、こんば……は、流星群ラヂオのお時間です〉
ぼくとクズリは顔を見合わせて、首をかしげた。流星群ラヂオなんて番組は聞いたこともなかった。
〈流星群のみなさん、今夜はとても見晴らしがよく、流れるにはとてもよい夜です。しかし、こんな夜は周りの景色に見とれて、航路から外れる星が出ることも多いのです。みなさん、気を引きしめて。そして、よい旅を。さあ、今夜の一曲目はこちら〉
ラジオからはトライアングルのようなかん高い音色が聞こえてくる。なんの曲だかちっともわからない。
「ねぇ、ヒイラギ、さっきの何のこと?」
ぼくは首を横にひねる。
「うーん。わかんない。でも、今夜は流星群が流れるんだ。だから、そのことじゃない?」
そのときだった。
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