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「貴様など、愚民以下だから豚で十分だ。家畜は家畜はらしく残飯でも食っているがいい」
なんなんだ、この感情は。俺はけなされているはずなのに、なんなんだこの感情は。
心が弾む、いや、心のそこからこの感覚は。「豚やろう」と言われた瞬間に俺の下の宝剣もぴょんぴょんしやがった。
「そもそも、なんだ貴様らは愚民どもが群れて何をしている?」
ドスが効いてはいるが、やはり声は可愛いまま。なんと言うか可愛い声なのに鋭く相手を見下すというギャップ。
なんというコラボレィーション。
「くそ、魂の転移を無理やりするんじゃなかった。転移の座標が定まらず、意味がわからない世界に来てしまった。しかもどうやらこの娘に憑依してしまったようだ。なん足ることだ」
そうか、そうだったのか。俺が彼女に足りないと思っていたことそれは。
「くそ、この世界の事がまるでわからん。致し方ないか、プライドを捨ててでもこの豚に聞くしかないか」
豚!? また言われたぞ。うぉぉぉ、興奮する!!
「おい、お前」
「は、はい。なんでございましょう」
「私は別世界から来たある王国の姫だ。魂だけでも逃げるため、転移魔法を使い、ここに来た。しかし、突然の転移のために調整ができずにこの世界のこの娘に入ってしまった。だから私はこの世界の事がわからん。だから特別にお前が話しかけるのを許してやろう。豚のお前がな」
はぅ、本当に興奮する。彼女は何を言っているかは意味がわからないけど。
でもこの相手をけなし、見下し、上から目線の態度。今まで味わったことの無い。これは至高という事はわかる。わかるぞ!!
「全く、これだけ言っても通じんとはやはりやはり豚だな。汚らわしい」
「す、すいません。姫様」
「泣きつくな。気持ち悪い。貴様なんぞ」
「お、お許しを……」
「死ね、この豚やろうがぁぁぁぁぁ」
はぅぅぅぅ。
彼女は何故か俺の知っている彼女じゃなくなってしまったけど
むしろ満足です。
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