キラキラ男子と夏休み

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「チエちゃんと………また高柳………?」 私の後ろに視線を投げた倉岡君は高柳君を見て小さく頭を下げていた。 なんだか後ろから冷気が流れてくるような気がする………。 もしかして発生源は………高柳君? 「そうそう、チエちゃんに話があったんだ」 この冷たい空気をもろともせず、倉岡君が普通に話を切り出した。 「夏休みにさ、中学のやつらと集まろうって話を遠藤なんかと計画しててさ。  元3組のやつら中心に声かけるけど、チエちゃんも来ない?  女子は瀬戸とか秋山も来るって言ってたし」 「行く行くっ!!」 仲の良かった女子の名前も出て、間髪いれずに私は即答した。 そんな私を見て倉岡君はクスリと笑った。 「じゃあ、チエちゃんはOKってことで、遠藤に伝えとく。  詳細はまた連絡行くと思うから、よろしく」 「わー、嬉しい!!夏休み予定もなくて暇だったからすっごく楽しみ!」 「んー、声かけて良かったよ。  じゃあ、また」 そう言ってスタスタと倉岡君は駅へと歩いて行ってしまった。 「あ、倉岡君………」 その後姿を追いかけようとした瞬間、グイッと腕を掴まれた。 あ………浮かれ過ぎて高柳君の存在、忘れてた。 この暑い中、先程の冷気が再び首筋を流れて行った……気がした。 「えっと、高柳君………?」 そーっと高柳君の方に振り返ると、眉間に皺を寄せて不機嫌丸出しの高柳君がジーッと私を見ていた。 掴まれている腕がじわじわと痛い。 「………ずいぶん楽しそうだね」 口から出た声も、低くて冷たい。 何をそんなに怒っているんだろう………。 高柳君の思考回路が複雑過ぎて分からない。 「夏休み、予定もなくて暇なんだ?」 先程私が倉岡君に口走ったであろう言葉を高柳君は言ってきた。 「………こっちが何度誘ってもその度はぐらかそうとする割に、倉岡から誘われると嬉しそうに二つ返事するんだ?へぇ」 ………完全に怒ってる。 倉岡君の誘いって言っても、中学の時の集まりだよ? 中学の違う高柳君まではさすがに誘えないよ。 高柳君の怒りのポイントが………分からない。
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