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何故怒っているのか分からないので取り繕う事も出来ずに私は高柳君を見つめた。
ただ怒られると………悲しい。
何故だか泣きそうな気持ちになりグッと堪えた。
「ねぇ………宮杉さんは本当に俺のこと好きなの?」
「え?」
その質問の意図は一体………。
私が高柳君のことを好き?
私は………高柳君が………好き?
頭の中でいろんな疑問が浮かんでは、答えが出せないままぐるぐる駆けまわる。
質問に対する答えを紡ぎだせないままの私に、また高柳君が溜息を吐いた。
「もういいよ、じゃあ」
何も言わない私に痺れを切らしたのか、高柳君は自転車に跨って行ってしまった。
私を拒絶するその姿を茫然と見送っていると、ポタリと私の頬を何かが伝った。
高柳君が怒ったことも、その理由が分からない自分が情けなかった。
そしてそのまま高柳君とは顔を合わせることもなく………夏休みに突入した。
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