8人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
「あーーーアヂーーーーー・・・とけるーーーーー」
どれだけ窓を全開にしても風一つ入ってこない。入ってくるのはうるさいうるさいセミの声と真夏日、日中のカンカン照りの太陽光。
・・・あぁ・・・最悪。こんなことなら大人しく教室にいればよかったかも・・・。けどなー・・・授業は大嫌いだしその中でも現国なんて最大級に嫌いだし。現国の中村(なかむら)うるさいし。・・・まぁいいや。どっか涼めそうなとこ探そ。
桜千(おうせん)高校、二年の夏。
学校は嫌いじゃない。友達と呼べる仲間もそれなりにいる。楽しいか、楽しくないかなら普通に楽しい。
ただどうしても、授業だけは好きになれない。
授業大好きですなんてやつもちらほらとはいるけれどそれでも特定の科目だけだったり、それも先生目当てだったりで。大抵の人は嫌いと言わなくても好きではないだろうけど。
私は嫌い。
断言できる。
大嫌い。
だからこうして授業を抜け出す。
・・・にしても暑すぎっしょー・・・。
うだるような暑さの中、下敷きで自分を仰ぎながら重い足取りで避暑地を探していた。
・・・おっ??
特別教室棟一階の廊下を歩いていれば、日当たりもなさそうな薄暗く、涼し気な空き教室を見つける。
一応中を確認してからその扉を開けば、扉の向こう側からひんやりとした空気が流れ込んだ。
これは・・・まさかのっ!?
「うぉ~っ!!ちょーラッキーっ!!クーラーかかってるじゃんっ!!最高~なごむ~生き返る~」
クーラーの力が最大限発揮されるためにも扉を閉めて中に入り、持っていた下敷きは手前の机の上に放り投げた。
それから教室内を歩いてクーラーの風の通り道を探し当て、誰もいないのをいいことにスカートの裾をおもいっきり捲りあげて全身でその風を満喫した。
「天国だわ~」
その時だった。
開くことはないと思っていたその扉がガラガラと音をたてて開かれた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
瞬間、私の思考は停止した。
そして全てこの状況を理解したとき、思いの丈をありのままにのせて・・・
「ギ・・・ギャャャァァーーーーーッ!!!!!」
叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!