LESSON.1

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「いやぁ~、お見苦しいものをお見せしてしまって大変申し訳ないっ」 「全くだ。訴えられないだけマシだと思え」  白衣を身に纏った彼は、話ながらも手元ではちゃくちゃくと何やら準備を進めている。 「・・・はぁ・・・」 「高二にもなって水玉って・・・。露出したいならせめてもっと色気のあるもん履いてこいや」  ガチャガチャと実験器具がスタンバイしていく。 「・・・オイコラ人が下手に出ていれば何だそれオイ。そこまで言う?むしろ喜んでもいいくらいよ。現役女子高生の生パンツ見られたんだから。つか、言わせてもらうけど被害者こっち」 「・・・ハァ?初対面であんなモン見せられた俺の方が被害者だわ。被害届出すぞコラ、クソガキ」 ・・・なにこいつ・・・最悪・・・。 「はッ!そんなだから結婚間近に逃げられんだよ、東間(あずま)せっんっせっ」  脇を軽く小突けば、ギロリ、人一人平気で殺せそうな顔で睨まれる。 「そんな顔しても怖くないもんねー」  教壇の上の先生から離れ、最前列の机の上に腰かけた。 「・・・つかお前、みたいなやつ担当した覚えないんだけど」 「大丈夫。私もあなたに担当された覚えないから」  そしてまた睨まれる。 「まーまー。そんな起こんないでよ。名前知ってたのはあれだよ。東間先生有名だから。"Mr.残念イケメン"って」 「なにそれ」  言いながらやはり手元の動きは止めない。 「そのまんま。顔は良いのに残念もう一声ーみたいな?変人なんだってさ」 「・・・変人、ねぇー。別にいいけど。研究者にとっての変人は誉め言葉だし」 「研究者?あ、先生化学だっけ」 「あぁ」 「誉め言葉ねー。・・・やっぱり変わってる」 「うっせぇよ。あとお前、今授業中だろうが。何してんだよこんなとこで」 「おー。やっぱり触れちゃうんだ、そこ」 「つかサボるならばれないようにやれよ」 「んー。いつもは屋上が行き着けなんだけどね。さすがに真夏にそれはないわーってことでサボリスポット散策中に出会ったのがこの避暑地と呼ぶにふさわしい化学準備室。クーラー効いてるし静かだし誰もいないし」 「・・・ちったぁ嘘つけよ。堂々とサボリやがって。それと誰もいなくなかった訳だけどどうすんの?」 「えぇ?いいよ別に、東間先生なら」 「何俺なめられてんの?」 「違う違う。なつかれてんのー」 「なつく?」
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