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『そんな風に言っていただいて光栄です。が、俺はまだまだ未熟なのでこれからもっとチームの役に立てる、チームの皆に信頼される選手になれるよう努力します。そして来年は必ず優勝します』
そして今度は残りの一人を写した。
選手の名前も切り替わる。
『優勝します。それだけです』
二人の選手のインタビューが終わり、最後に記者が一言。
『ありがとうございました。オリンピックでの活躍を期待しています。以上、サッカー日本代表チームより坂上 俊選手と原川(はるかわ) 朋基選手でしたっ』
「すごいね、二人とも。すっかり有名人じゃん」
「だなー」
そんな会話をしていた手前。
「ただ今~」
玄関からの声に唯が瞬時に立ち上がる。
「おかえりっ!俊兄ちゃんっ!」
「また大きくなったな~唯。なんだ今度は敬礼が流行ってんの?」
「けいれいじゃないよー、鼻くそマンのビームっ」
「へぇ、じゃあ俺朝から殺されかけたんだー」
「うんっ!退治したっ」
「鼻くそマン悪役じゃなくてヒーローなの!?」
弾む会話がリビングに近づいてくる。
「姉ちゃん、兄さん、ただいま」
「おかえり、俊っ!わーお。また黒くなったね~」
「おかえり。ほんとだ。ゴキブリみたい」
「・・・兄さん、その例えはやめて。つかそこまで黒くないし」
「あははっ。朝御飯俊の分もあるから食べてよ」
「姉ちゃんの手作りとか久し振りだーっ!やったねっ」
今朝のリビングはいつもよりちょっとだけ賑やかだった。
「けどさー、今日ほんとに俺もついてって良いのかー?家族団欒の邪魔じゃない?」
「何言ってんの。俊も家族みたいなもんだよ。それに今日は家族団欒って言うより・・・」
「佑季ー、俊ー、行くぞー」
玄関から泉が私達を呼ぶ声に「はーいっ」と駆け付けた。
運転席に座る泉。助手席に座る私。俊と唯は後部座席に乗り込んだ。
わいわい、がやがやと話の耐えない車内から大きな観覧車が見えれば車内のテンションは最高潮に達した。
「らんらんしゃっ!!らんらんしゃっ!!ママー、あれ乗ろうねっ!!」
「乗ろうねっ!!乗ろうねっ!!」
「俺もっ!!俺もっ!!」
「観覧車、な。お前ら落ち着け」
・・・あー、ただ一人を除いて。
車から降りて中には入らず入り口前の広場で止まる。
「ママー、早く入ろっ」
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