第1章

4/40
前へ
/40ページ
次へ
先生もいつからか僕を笑うようになってた。なんだ今日も的か。愛されキャラだな。みんなにイジラレテおいしいなぁおい。先生もそうやってイジッテほしいよ。そしたら楽しい先生だと生徒人気もあがるかな。いいなぁお前は。羨ましいよ。 なら変わってあげるよ。もう鬼は嫌だ。 鬼はお前にしかできないよ。 適役なんだよ。 ずっとそのままでいてよ。 僕が。私が。楽しめるように。 僕が。私が。 安全でいられるように。 あはははははははははははははは。 わははははははははははははははあはははっははははっははあ。 関わるの止めよう。 身代わりになんてなりたくない。 巻き添えなんて嫌だ。 ごめんね。そのまま引き受けてて。 私何も見てないよ。 ええ、先生。彼らは遊んでただけでした。楽しそうにしてましたよ。彼も笑ってました。 ええ、先生。彼らは仲良く毎日帰っていきました。ゲームしたりプロレスごっこしたりしてたみたい。彼も笑ってました。 見殺し。 見て見ぬふり。 見殺し。 安全圏にいるやつはそれしかしない。 僕は壊れた。 お母さんごめんね。 弱い僕を許してください。 恥ずかしい想いをさせてごめんなさい。 僕がいじめられてたなんて恥だよね。 ごめんなさい。 恥ずかしい想いをさせてごめんなさい。 ごめんなさい。 死んで詫びます。 向こうではもっと強くなるから。 集団リンチの悲劇はいつ止むのだろうか。 いじめ。軽々しい。命の重さに見合った重き言葉を与えよう。 言霊を信じる世界では重きものこそ軽き言葉で蓋をする。 見たくないものは見ないのが一番。 しょせん他人事だもの。 自分に降りかからなければいい。 あの子が犠牲になればみんな幸せなの。 ねぇ、みんなの幸せのために、死んで。 悲劇は勇気でしか打ち破れない。 幼き魂に勇気は宿るのか。 見てるものから目を逸らさないで。 直視する現実はきれいごとではすまない。 いつかは我が身。 そんな恐れでもいいから。 悪意の連鎖を止めてよ。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 死ぬ必要なんかないんだ。 恥なんかじゃない。 もっと生きて。 もっと生きてよ。 みんな目を開けて! 目を醒ませよ! 傍観者A  今年の桜は咲き始めるのが遅く新入生が入ってくる入学式にもまだ八分咲きだった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加