第一章

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私には天敵とも呼べる人がいる。 大っ嫌いな人が。 「沖田様~!」 「今日は私と一緒に買い物に行ってくれるんですよねー?」 「今日は駄目。また今度な」 にっこり笑顔を繕って女の子たちを惚れさせる。 新撰組の沖田総司だ。 私は兎に角、こいつが大っ嫌い! 女を誑かすなら他の店の前でやって欲しい。 なんで毎回、わざわざ私の店の前でやるかが分からない。 「やっほー、お菊ちゃん。また来ちゃった」 「どうぞ、そのままお帰りください、沖田様?」 私がこんなことを言ってもお構いなしに席に座る沖田。 「ねー、どうしてお菊ちゃんはそんなに冷たい訳?俺、寂しいなぁ……」 「貴方様には興味が毛ほどもございません。どうぞお帰りください」 「ほんっとお菊ちゃん、毒舌だよね。一応、お客様なんだけど?」 注文もしない客が何処にいる! 毎回毎回、私の店の前でやりやがって…… 他の客が入ってこれないんだ! 邪魔でしかない。
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