第一章

10/13
前へ
/447ページ
次へ
「お待ちどう様です。では、ごゆっくりー」 お菊ちゃんはお茶と団子を置いて店先に出て行った。 そして、大きな声で客を呼び込んでいる。 笑顔を振りまき、愛想良く周りの人からは人気だ。 「総司ー、そんなにお菊ちゃん気になるの?」 「ん?まぁ……。からかうと楽しいじゃん」 「そんなんだからお菊ちゃんに嫌われるんだよ」 別に俺が楽しければそれでいいし。 あいつが嫌おうが俺はからかって遊ぶだけ。 それだけ。 「元気だよね、お菊ちゃん」 「ん?そうだな……」 俺が団子を食べている時だった。 何やら店先で揉め事が始まっていた。 頬杖をついて見ているとそこにいたのはあいつだった。 俺はすぐに立ち上がった。 「総司?」 「何やってんだよ……!」 馬鹿じゃねぇの? 町人が武士に喧嘩を売るなんて。 何考えてんだか……
/447ページ

最初のコメントを投稿しよう!

322人が本棚に入れています
本棚に追加