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◇◇◇
「相手は小さい子どもでしょう!?」
「だからなんだ?余所見をしてぶつかったのはそこのガキだ」
子ども相手に刀を抜こうとしていた。
私はそこに咄嗟に飛び込んだのだ。
男の子は目に涙を浮かべている。
「……器の小さい人。そんなんだから新撰組にも勝てないんでしょ?情けない」
「んだと……?一緒に殺されてぇらしいな?」
あー……
私も何やってんだか……
武士には逆らわない方が身の為だ。
こんなこと知ってる筈なのに……
男は刀を抜いた。
そして、それを振り下ろそうとした。
「折角、人が美味しく団子食べてるって言うのにさ……。邪魔するなよ」
それを防いだのは沖田だった。
いつもとは違い、怖かった。
やっぱり、この人も武士なんだと思った。
「お菊ちゃん、無事?」
「え、あ……はい……」
「そう。じゃあ、その子と一緒に店の中にいなよ。俺は相手するから」
私は男の子の手を引いて沖田の言う通りに店の中に入った。
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