第一章

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私もよく武士様にこんな口きいてるわ…… 一応、丁寧に話しているつもりなんだけど…… どうしてもあの人のことになると…… 「お菊ー!暖簾、下げちゃって!」 「分かったー!」 私はお母さんに言われて日が暮れてから暖簾を下げた。 なんであの人があんなにモテるんだろう…… そりゃあ、容姿は綺麗だけど…… 猫被りだし、性格かなり悪いのに…… 何処が……? 「また沖田様来てたんだね~」 「もう毎回毎回来ないで欲しいよ。全く……」 お母さんは呑気に笑って明日の仕込みをしている。 私は机を拭いていた。 「ねぇ、お菊。店の手伝いばかりさせてごめんね……」 「えっ……?全然!私だってやりたくてやってるんだから」 急に謝られてどうしていいか分からなかった。 お母さんそんなこと気にしてたの……? 「私、この店好きだし、沖田様も含めて色んなお客様と話せるから……」 私は笑った。 お母さんは少し申し訳なさそうにしながらも笑った。
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