The KILL

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「十六年前かな……全く同じ手法の犯罪が起きたんだよ。影が無いって書いて影無」 「……捕まったんですか?」 「当時の影無は十四才で、世間には少年Aとして公表。その素性は全く明かされていない。更生施設に入って出所して今では世に出てるよ」 「今回の犯人も……」 「それはまだわからないよ。模倣犯という線もあるしね。コアなサイトに行けば未だにその当時の動画だって観れるし」 「なんで削除されないんですか? その結果がこれなのに……」  画面の消えたパソコンを見つめて、未来は悲観した。どんな人間がこれを現実と認識して観ているのか。観れるのか。  ホラー映画や多少のグロテスクな映画も未来は楽しめた。でも、それは作り物だからという線引きをしているからであって、現実にそんな事件が起きていて楽しめるものではなかった。  それは刑事だからか、人間としてかは、刑事として働いている今ではわからない。  それから一時間ほどで覚悟を決めて、滝沢家に向かった。  何を言うよりも、もう見てもらった方が早い。冷酷な女だと思われるだろうが、納得してもらうにはそれが一番だ。  渋谷の住宅街にある一軒家の借家。近くには小学校から大学まであって人の通りは朝と夕方には多くなる場所だ。  木々に囲われた神社もあって、そこで少女はさらわれたと考えられるが、残念ながら今回は親子三人で渋谷駅付近のファッションビルで買い物中に、少女がトイレに向かったまま戻って来なくなったということだから、犯人の手口は極めて大胆と言える。  インターフォンを押すと、父親の圭司が出て来た。やつれた顔はこの二日間の苦悩を思わせる。それに止めを刺しに来たようなものだった。 「小柳さん……だったっけ? 娘は、凛は見つかったんですか!?」  僅かに、目には輝きが戻った。その目を見てはいけない。決心が鈍ってしまう。 「確認していただきたいものがあります。お時間よろしいでしょうか?」 「……? どうぞ」  促されて家の中に入ると、茶の間に通された。妻の真夕も同様に疲れているように見えた。この二人に、あの映像を観させるのはあまりにも酷だ。だが、もし違う少女なら、行方不明事件も再開しなければいけない。
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