The KILL

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「早速ですが、こちらをご覧になってください。刺激が強いので奥様は観ない方が良いかもしれませんが……」 「なんですか? まさか、誘拐ですか!?」 「……それだけなら良かったんですけど」  その煮え切らない返事に、明らかに圭司が苛立っている。それを受けて、パソコンを起動させた。 「何が映ってんですか?」 「今朝のニュース番組はご覧になられましたか?」  滝沢夫妻は静かに頷いた。それなら話は早いと、未来は続けた。 「その犯人がネットに投稿した動画です。現在は削除されているので観ることは出来ませんが、うちの署の者が偶然見付けて保存したものです」 「警察って、仕事中にネットしてるんですか?」  真夕の鋭い指摘に、言葉を詰まらせた。 「最近はネットで犯罪自慢をする輩もいますので。その調査です」  学は多分、ただ動画サイトを観ていただけだろうけど。  パソコンが起動完了。動画をセットすると、二人の様子を見た。どうやら真夕も観るようだ。 「行きます」  再生。少女の姿を見た途端に、真夕の顔はくしゃくしゃになってしまった。泣くのを堪えているのか、それでも娘の姿を観ようと目は背けない。  圭司は見入っていた。犯人のヒントがどこかに無いかを探るように。ただ、あれから署の人間が三度ほど観て鑑識にも回している。それでも何も見付からないのだ。  音声があれば、付近の音で何かヒントはあるかもしれない。固定された無音の映像ではそれさえも難しい。 「こちらは、娘さんで間違いないですか?」  圭司が睨みつけた。犯人はお前だとでも言いたそうだった。  暗い、沈んだ声で「はい」とだけ聞こえた。  これで一つの事件として繋がった。被害者が一人で済んだのは良かったと思う自分は何かおかしいと困惑しながらも、極めて冷静に未来は答えた。警官が戸惑っていては不安がらせるだけだ。 「わかりました。それでは先日行方不明という事で捜索願を出されましたが、以降は殺人事件として捜査を切り替えます」  胴体と頭の捜索も残っている。やることはまだまだある。この犯人の動機が分からない以上は、次の被害者も出るかもしれないのだから。  玄関のドアを閉める直前で、真夕の泣き出す声が聞こえた。それが胸を突き刺すように痛かった。  なかなか、成人した女性が本気で泣く声を聞く事は無い
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