3人が本棚に入れています
本棚に追加
パトカーに乗り込み、青児は犯罪グループのリストを眺めた。
詐欺グループの中に、大量のキャッシュカードを作らせた奴がいるのかもしれない。
アングラなサイトでは口座の売買くらいはよくある話だ。売れるから、使いもしない口座を作って詐欺グループに売る。微々たる金の為にこんな犯罪に使われる事を知っていてもやってしまうから、いつまでも無くならない。
つまりは鼬ごっこの一端を貰っただけに過ぎない。それでも、やらなければいけないのは、そういう意味を含んでいるんだろうと、青児は再び煙草に火を点ける。
「なんで煙草貰ったんですか? 葵さんのまだあるのに」
「解決した時に気分だけでも一緒に勝利を味わうんだよ。こんなボロ負けしたまま終わらせたくねーし」
「だったら、一本僕にもくださいよ!」
「お前煙草吸わねーじゃん」
意外といい人なんだと、歩み寄ってみようと学は頑張った結果がそれでは、心がへし折られる。
「良いか? 事件てのは煙草と同じだ。一度火が点きゃいつかは燃え尽きる。灰になって風化しちまう前に吸い尽くしてやんのが警察の仕事だ。因みに、未来ちゃんが残した事件は重いぜ? 吸いきれんのか?」
「吸います! 絶対に!!」
威勢の良い返事に、青児は唇を上げると、アクセルを踏んだ。高尾陸を逮捕しこの事件を解決へと導くために。
親友と未來の為に。
最初のコメントを投稿しよう!