The KILL

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 当たり前だが、連絡は無い。『また』というのも、社交辞令の一つだろう。あぁも出来る男ならそれくらいは出来て当然だ。  嫌なことが一つあるだけで世の中の全部が悪いものに見えてくるのは、未来の昔からの悪い癖だった。大体、あんな男なら彼女がいるに決まってる。  マンションに着くと、どうせまたほとんどが留守だろうと車から出る気にはならなかった。  どうも、厄介払いをされた気分だ。  未来は成績優秀で実力を買われている面もある。その分、反発する派閥もあるが、その大体は年寄り連中で年功序列を守れと言いたげだった。 「行かないんですか?」 「仕事でいないだろうし。だから夜に行くって決めてたのに」 「でも、これってサボりですよね……」  仕事中にネットで動画観てる奴が言うなと言いたいところだが、今回の件に関しては大手柄だ。何も言えないのが悔しい。クソッと暴言を吐きたいのもそこそこに、一つ時間潰しを思いついた。 「この付近に洋菓子店てどこにある?」 「ありましたっけ?」 「あ~、学ってスイーツとか食べそうにないしね」 「さっきコンビニで買ってくれば良かったじゃないですか」 「もういい。聞き込みに行くよ」  ドアを閉める音が暴力的だった。思わず学は、「ヒッ……」と声を挙げてしまった。  昨日よりも新たに三件の住民に話を聞けたが、収穫は無い。 「そもそもこのマンションで合ってんの?」 「……それを言ったらお終いですよ」  五階の住人は昨日から『501』『503』『506』号室の住人に会うことは出来た。その誰もが、中国人がいたのは知っているが、最近は見なくなったとのことだ。 「その中国人が犯人じゃないですか?」 「六月二一日まではあの女の子は家にいるのは確定してる。中国人が帰ったのは先月。それは間違い無い」  そして遺体が発見されたのは昨日の二十二日。犯行は確実に二十一日に行われている。 「犯人はロリコン説が多いですね、ネットだと」 「そう」  四肢だけでは、強姦の線も見えない。だから胴体を隠しているのかもしれないし、こっちに引き渡す気も無いのかもしれない。  なんにせよ、未来は根拠もないネットの話には興味は無かった。
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