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都会の人間は人が何をしていようとあまり気にはされない。よほど目立つ格好をしていれば別だが、当時の圭司は、クラスでもよく騒いでいる人気者で、事件の発覚には誰もがショックを受けた。
『心の闇』などとは無縁そうに思われていたが、その闇が、クラスの人気者になってみんなに好かれたいという自己顕示欲に繋がっていた。
馬鹿な事をすれば笑ってくれる。クラスメイトに注目されるのは気持ち良かった。それが次第に大きくなり、様々な事をやってはネットに投稿した。
その行きついた先が、少女殺害だった。
見ることが出来ないであろう少女の裸体を見せてやろう。喜んでくれるはずだ。
作り物じゃないスプラッターを見せてやろう。みんな喜んでくれるはずだ。
動機はそんなものだったのに、いざ、非力な少女を前に慣れ親しんだ自宅の自室で向き合ってみると、意外と沸き立つものがあり驚いた。殺意でも無く、触れてみたいという欲求だった。
クラスの人気者とは言っても、別に女子にモテていたわけではないから、女の子に触れるのはそれが初めてだった。
その興奮に抑えが効かなくなって行った。
あのひょっとこ野郎も、凛に対してそんな思いをぶつけたんだろうか。
小学校に入ってからは、一緒に風呂にも入ってくれなくなった為に、娘の身体をみるのは四年ぶりだった。
犯人と、あんな動画を見せる婦警に怒りる中で、身体は僅かに興奮していた。そんな事を言ってしまえば、面倒な事になってしまうから決して口にしてはいけないと、圭司は自分を押し殺し続けた。 犯人を見つけるには、まず自分が何をしたかを明確に思い出す必要があった。
その為に、眠らせたはずの『異常殺人犯』としての滝沢圭司に戻る必要があった。
あのひょっとこを剥いでやる。泣き喚こうが絶対に許さん。
どんな男なのかはわからないが、手に戻る、肉を切断する感触がウズウズしてたまらなかった。
圭司は宛てもなく歩いた。過去の自分を思い出す為に。
映像を思い出しては、下着がドロドロとした液に塗れていくのも構わずに。
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