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ね、ねぇ? 今とらさん、『ヤツら』って言った?
えーと、聞き間違い、かな?
「あのう、とらさん? ちょいとお尋ねしたいのだけど、いい?」
「あ? 何だ」
「えーとね。聞き間違いかもだから、もう一度聞かせてもらいたいんだけど。
とらさんたち、新選組の原田さんと同じ船で江戸に帰ってきたの?」
「あぁ、そうだ」
おおお、ほんとなんだ。
「そっ、そう。えーと……じゃあ、その船に乗ってた新選組の人は、原田さんだけ?」
「いや、局長の近藤と副長の土方。
それから原田を含む幹部と、その他の隊士達も一緒だったな」
「……っ、ひぃっ! ごほっ、ごほごほっ」
むせたっ!
ごくりと唾を飲み込んでから尋ねただけなのに、驚きのあまり思いっきり吸い込んだ息と一緒に喉に引っかかって、盛大にむせちゃったわ。
てゆうか、なんですってっ…!
「お、おい、大丈夫か?」
「ごほほっ……だ、だいじょぶ」
大丈夫。これくらい、何でもないわ。それよりっ!
「ちょっと、そこんとこ詳しく!
今の話、もっと詳しく教えて! お願いっ!」
「……おい、葵。何故、そんなに必死になってる?」
「へっ?」
とらさんの顔と表情が急に不機嫌になった。どしたの?
「しかも、そんなに必死になって尋ねながら両手で掴み上げてるのが郁さんの手というのは、どういう理由(わけ)で、どういうつもりだ?」
……ん? あら、コレが駄目だったの?
だって、荒井さんのほうが親切に詳しく教えてくれそうだって、一瞬で閃いちゃったんだもん。
つい、最後に前のめりになった時に、荒井さんにズリッと近寄っちゃったのよ。
乙女の勘、ってヤツよねっ。
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