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オレは絶対に、スズネが淹れてくれるホットミルクには手を付けない。
前にコーヒーを淹れてくれた時、砂糖とミルクをガバガバ入れて飲んだことを、スズネのやつはしっかり覚えているのだ。
気に入らない。
「だからもう、コーヒーぐらい飲めるって!」
何度言ってもスズネは聞きやしない。
でもコーヒーの代わりにホットミルクって何だよ。
ガキじゃねーし。
機嫌を損ねたオレは、勝手に立って冷蔵庫を開け、牛乳パックに直接口をつけてガブ飲みしてやった。
スズネは目を丸くしてオレのことを見てたけれど、これがいつものオレの常態だ。
文句あっか?
そんなこんなで、いくつかのすれ違いを重ねて、スズネはすっかりオレのことを避けるようになった。
避けるというより、怖がってるのかもしれない。
オレと目が合うと、いつも慌てた様子で視線を逸らす。
女の考えることはよくわかんねぇし、興味もねえから別にいいけど。
第一スズネは、表面上は『別れた』とか言っている、長男ハルの彼女なのだ。
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