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「来生くん、あのこれ、食べてくれないかな?」
ヒラヒラしたリボンでラッピングされたナニかをくれようとする女子に、オレが怪訝な顔をすると、
「クッキーなの。来生くんに元気だしてもらいたいと思って」
そんなことを言った。
新学年早々、サッカー部のレギュラー選抜から、オレは外された。
たしかに気分は落ち込んだけど、それを教室にまで持ち込んだ覚えはない。
今日だって普通に授業を受けて、普通に過ごしていたはずだ。
三嶋だっていつもと変わらない様子で声をかけてきたぞ。
それを何だって、よく知らない女子のあんたがそんなことを言う。
「……元気だせって、何で?」
ちょっとオレの声が、寝起きで低かったせいかもしれない。
女子はビクッとひとつ飛び上がるように震えた。
どうも、オレの容姿は怖いらしい。
ちょっとしたことで、女はすぐに怯えたような顔をする。
スズネだってそうだ。
ああ、メンドクセェ。
それに、目の前に立つ女子、同じクラスではない。
オレを教室の入り口まで呼び出すような、親しい間柄じゃないはずだ。
なのに何で、オレが元気がないって決めつける?
オレがサッカー部のレギュラーから外れたこと、そんなに有名な話なのか?
少しムッとしながら、
「わり、オレ、ハラ壊してんだわ」
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