3 テッペー

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3 テッペー

なんでか良くわからないけど、次の日曜、オレはヨーコ先生とデートすることになっていた。 シンジュクで11時に待ち合わせ。 定番中の定番だ。 「いいの? 学校にバレたら、ヨーコ先生がヤバいんじゃない?」 一応、先生の立場をおもんばかって聞いたら、 「あら、問題になるようなことシタイの?」 逆に聞かれて口ごもる始末。 まだまだ修行が足りない。 まあ、会う時間が時間だから、そう心配するようなこともないだろうが、 やっぱりデートとなれば男がいろいろ考えなくちゃならないだろう。 メシ食って、映画とかか? この間、スズネに紹介されて行き損ねたフルーツパーラーの場所を思い浮かべた。 確かメシも食えて、女が喜ぶって言ってたよな。 でも……、 小銭ばかりの自分の財布の中身を考えれば、 『ハルに借りよう』 ハルが仕事から帰っているだろう時間を見計らって、ハルの部屋をノックしたら、 「……はい」 ハルの部屋から鈴音の声。 「!」 お前ら絶対『別れた』って嘘だろう。 オレはドアが開くのを待つことなく、自分の部屋に逃げ帰った。
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