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1 雨山 スズネ
「秋哉くん、本当に大丈夫なの?」
新学期になったから普通に登校しようとするオレに、同居人のスズネが眉を寄せて話しかけてきた。
「大丈夫って何が?」
オレは玄関のたたきに座って、ハイカットのコンバースに少々手こずりながら聞き返す。
ナツキがくれたやつだけど、履くのメンドクセェ。
するとスズネは、
「その……、胸の傷」
と言いながら、オレの開いたシャツの間に目を落としてきた。
それでもってすぐパッと視線を逸らす。
「あ?」
オレはTシャツは着ない派だし、指定シャツのボタンもメンドクセェから、ふたつみっつは開けてある。
ちょうどオレの頭の上から、素肌を覗き込むような形になったから、目のやり場に困ったんだろうけど。
ガキの素肌に、こんなに単純に反応する大人はいないだろう?
照れたというより、どうやらオレは、
――スズネに嫌われているらしい。
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