雨が降りやんでも~夏夜のおとぎ話~

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「大丈夫だよ。紘斗が帰ってくるまでもうちょっとだからね」 光に気づいているのか、姫良がやさしく囁く。 それとともに姫良の心があたしの頭に降ってきた。 温かい雨。 雨に触れた耳がぴくりと動き、その既視感があたしの記憶を呼んだ。 ――さみしくないですよね? 紘斗を守ろうとした理由。 なんのために、なぜ、何から。 姫良のために、姫良のかわりに、さみしさから。 あたしは姫良に廻り合った。 捜していた理由。 そうだったんだ……。 バトンタッチ。 今度こそ、姫良が紘斗を守るばんだよ。 そうできるのは姫良だけなんだから。
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