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どれくらい待ったのか時間はわからない。
玄関が開いて夜のニオイを紘斗が持ち帰る。
「キラ、ありがとう」
姫良の心とともに紘斗の言葉があたしのなかに満ちた。
『紘斗』
姫良の膝の上にいるあたしの躰を紘斗の手が撫でる。
光に身をゆだねた。
「姫良、悪かったな、付き合わせて。ありがとう」
紘斗の腕が姫良の背中にまわった。
あたしには見えなかったけれど、心に映った。
雨が降りやむまでその腕は離れない。
ううん、降りやんでも。
さみしくないよね――
きっと。
-The end.-
Will be continued in the next time.
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