雨が降りやんでも~夏夜のおとぎ話~

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「キラ、来いよ」 雨が続いているある日、ベッドの上に寝転がった同居人、紘斗が手もとを叩いてあたしを呼んだ。 いつもより遅く帰ってきた紘斗がお風呂に入ったり、明日の準備をしたりと寝るまでの間、ずっとあたしは近づかず、遠巻きに動きを見守っていた。 日付が変わるくらいに遅く帰ってくるときはお酒の付き合いか、もしくはメスと一緒だったか。 あたしをベッドに呼んだということは、今日の付き合いはお酒のほうだったんだろう。 紘斗はメスと交尾した夜は絶対にあたしを呼ばない。 呼ぶときと呼ばないときがあると気づいたのはいつだったか忘れた。 どんな違いがあるのだろう。 そう思ってあたしはその違いを探してみた。
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