雨が降りやんでも~夏夜のおとぎ話~

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紘斗はときどきメスを連れてくる。 同じメスじゃない。 というより、紘斗は同じメスを二度と連れてきたことはない。 それなのに、どれも鼻をつく。 あたしは近づけない。 部屋の隅っこでじっと紘斗とメスを追っている。 紘斗はそうしているあたしを見返すけれど、絶対にあたしを呼ばない。 あたしの視線のせいなのか、紘斗は長居させることもなくメスを連れだす。 ほとんどのメスはあたしを無視する。 もしくはあまりにも隅っこに置物のごとく座っているせいで、気づかないのかもしれない。 だってメスはそれどころじゃなく、盛りのついた“なんとか”みたいに紘斗を追ってる。
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