雨が降りやんでも~夏夜のおとぎ話~

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なんとかっていうのは“なんとか”。 それをはっきり口にしたらあたしのプライドが許さない。 あたしは盛りなんてつかないし…… まあ、それは置いといて。 たまに余裕のあるメスがいて、あたしに近づいてくる。 来ないでって云うのに、あたしの言葉はメスに通じない。 つい最近、機敏さがなくなってきたせいで逃げきれず、あたしを捕まえたメスがいる。 名まえはミハルって云っていた気がする。 そのとたんにあたしはバカみたいに暴れて爪を立てたんだった。 このメスじゃない。 ママの腕を忘れそうで怖かった。 あたしは紘斗を守ろうとしていた。 なんのために、なぜ、何から? ここでもあたしは答えを出せない。
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