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箱のなかに移り住んだのは八年まえ。
ここに来て以来、暑いということ、寒いということを忘れてしまった。
いつも同じ温度で、心地よい紘斗のニオイに満ちている。
あたしの仲間は住み処が変わったらストレスで頭がおかしくなると、まるで自分のことのように嘆いて忠告してくれたけれどなんてことなかった。
あたしは家のニオイより、紘斗のニオイに執着しているのかもしれない。
紘斗はたまに公園に連れていく。
そこはどんな場所とも違う空気があった。
紘斗が決まって座る池の周りにあるベンチは、苦手な寒い冬でも温かい。
外に出るときにいつも紘斗が纏っている刺も、そこではやわらかく身を潜める。
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