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俺の口調の変化に口元を綻ばせながら、リクは今までと変わらない普段通りの言葉で説明した。
「そのままの意味だよ、レオン。……もっとも、『お姫様』っていうのはキミ自身の事じゃなくて、キミの“中身”の事なんだけどね」
「……俺の、中身? それっていったい――――」
「レオン。キミをその姿に変えた『魔法局』の役人は、きっとキミに嘘をついているよ。それか、もしくは本当の事を全て語っていないんだね」
こちらの言葉を遮って、リクは流れるように自分の弁を並べ立てる。
「キミも、僕達『エンブレム』が何か探し物をしてるっていう情報は耳にしてるよね? そして、その探し物を手に入れるために色んな場所の歴史的文化遺産だとか神話に纏わる遺跡を訪ねて回ってたんだけど……」
一度、大袈裟に肩を竦める素振りを交えながら、
「……ところが、そんな僕達の探し物の正体にいち早く気が付いた“ある男”が、忌々しい事にその僕達の探し物を先に手に入れて、見つからないように、“とある場所”に隠してしまったのさ」
今度は、ちょんちょんと指先で何度か自分の足元を指し示しつつ、
「……それで、その“とある場所”っていうのが実は……。強力な退魔結界に守られた、この『中央都市ロト』で運営されている魔導学院。『ロト魔導学院』だったんだ」
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