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「……じゃあ、お前の言うこの学院に隠してあった探し物っていうのが、つまり…………」
「そう、キミの事だよ」
ずいっ、と、妙に楽しげな様子と共ににじり寄って来たリクから、俺はまた一歩距離を取った。
「それじゃあ、せっかくここまで話した事だし、そろそろネタばらしをしようか」
ごほん、と、リクはわざとらしく咳払いを行ってから、どこか楽しげな笑みを浮かべつつ、その先を続けた。
「僕達が探し求めていて、そして『魔法局』に所属している“ある男”、ジャン・ルシファーが横取りをしてこの学院に隠した…………いや、この言い方だと少し違うかな」
指先で軽くあごを掻きながら、「ちょっと訂正するね」と告げて、
「正確には、ジャン・ルシファーが僕達から横取りして、そうして、この学院に籍を置く男子学生に……。“レオン・バロックの体に封印したのは、昔話に登場するお姫様の命。『王女アデレードの神格化した魂』”なのさ」
……その言葉はまるで何気ない日常のやりとりのように、全く緊張感の籠っていない声音で告げられて、
「……えっ」
同時に、途方もない衝撃と、すぐにはとても飲み込みきれない非現実感と共に俺の鼓膜を揺さぶったのだった。
俺の体に封印? アデレードの魂?
「……なんだよ、それ」
自然と、震えた言葉が唇から零れ落ちた。
「レオン。実はね、あの『聖騎士』の物語には続きがあるんだ」
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