真夜中の始まり

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「てきとーにくつろいでって。なんか飲む?」 「じゃあ、ビールでもいただこうかな。」 赤面顔のまま棚の横のフカフカなソファーに腰を下ろした ん、と小さく言って私にビールの缶を差し出して私の真横に座った。 お互い少し落ち着いて一息付いた 「ツアーどうだった?」 「やっぱ、対バンした他のバンドを見るとやっぱり、なんつーかこんなこと言っちゃいけないけどちょっと凹む。」 「そんなこと言ったら秋勝だけじゃなくて他のバンドのみんなもメンバーも思ってるんじゃない?お互い無い物ねだりだよ。」 「そうかな…」 そりゃどーも、と小さく言って秋勝はそっけなく笑った お互い話も尽きてきたところ 「シャワー、どっち先浴びる?」 この後どうするか分かってるよね?と訴えかけるような強い眼差しだった 「先、いいよ。」 俯いて赤くなった私を見て秋勝は優しく微笑んだ じゃ、お先にと言って私の頭をかるく撫でた 立ち上がった秋勝からは私の知らない大人の香りがした
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