Act.35 Side Ayumu

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鏡の前で必死に顔を背けている葉月に歩み寄る。 そして俺は厳しい口調で彼女に言った。 「葉月、こっちを向きなさい」 その声に彼女の肩がピクリと揺れる。 しかし振り向く気配が全くない彼女にもう一度呼びかけた。 「葉月」 さすがにもう無視し続けるのも無理だと観念したのだろう。 しぶしぶ振り返った彼女は真っ白なドレスに身を包んだ、フランス人形のように美しくて。 けれどその瞼には、今にも零れ落ちそうな雫が溜まっていた。 「あのな、何を不安に思ってるのか知らないが、俺は葉月だから結婚したいって思ったんだ」 「…………」 口をヘの字に曲げながら、泣かないように必死に堪えて俺を見上げる葉月に、ゆっくりと、けれど思いを込めて言葉を紡ぐ。
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