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式場に着いた俺と葉月は、それぞれ別々の支度部屋へと案内される。
しかしようやくタキシードに着替え終わった頃、ブライダルプランナーの女性が困惑した表情で俺に言った。
「あの……楠田様、花嫁様がお式に出たくないとおっしゃっているんですが……何か不都合がございましたか?」
「はっ?」
「一応ドレスにはお着替え頂いているのですが。
時々土壇場になってそういう事をおっしゃる花嫁様もおられますので、こういう場合は新郎様がお話されるのが一番かと」
苦笑いのプランナーに、俺は引きつる笑みを浮かべながら尋ねる。
「分かりました。では少し二人にして頂いても宜しいですか?」
「はい、もちろん。お気持ちの準備が整いましたらお声掛け頂ければ」
こういう状況に慣れっこなのか、プランナーの女性はニッコリと笑みを見せて、俺を葉月の支度部屋へと案内してくれた。
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