Act.35 Side Ayumu

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ゆっくりと開いたドアの向こう。 鏡越しに俺を見て慌てて視線を逸らした葉月と、あんぐりと口を開けた映見、そしてニヤニヤと意味深に笑う瀬那川の姿が目に映る。 「ああ、もう二人も来てたのか。ご苦労さん」 冷静を装って映見と瀬那川に言葉を落とした俺は、葉月の控室へと足を進めた。 しかし呆然と俺を見つめる映見にさすがの俺も照れ臭くなる。 「映見ちゃん、口が開いてるぞ」 「…部長…」 「なんだ?」 「……やっぱりカッコいいです」 「うるさい」 だからタキシードは嫌だったんだ。 けれど今更そんな事を言っている場合じゃない。 映見や瀬那川の前で言うのは少し恥ずかしいが、式が始まるまでには葉月にこの想いを伝えてやらねば。 最高に幸せな花嫁になって貰うためにも。
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