2973人が本棚に入れています
本棚に追加
ゆっくりと開いたドアの向こう。
鏡越しに俺を見て慌てて視線を逸らした葉月と、あんぐりと口を開けた映見、そしてニヤニヤと意味深に笑う瀬那川の姿が目に映る。
「ああ、もう二人も来てたのか。ご苦労さん」
冷静を装って映見と瀬那川に言葉を落とした俺は、葉月の控室へと足を進めた。
しかし呆然と俺を見つめる映見にさすがの俺も照れ臭くなる。
「映見ちゃん、口が開いてるぞ」
「…部長…」
「なんだ?」
「……やっぱりカッコいいです」
「うるさい」
だからタキシードは嫌だったんだ。
けれど今更そんな事を言っている場合じゃない。
映見や瀬那川の前で言うのは少し恥ずかしいが、式が始まるまでには葉月にこの想いを伝えてやらねば。
最高に幸せな花嫁になって貰うためにも。
最初のコメントを投稿しよう!