Act.35 Side Ayumu

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その時、俺の背後にいた葉月が着流しの袖を掴んだ。 「うん? 葉月どうした?」 問いかけても彼女はただ、悲しそうに瞳をゆらゆらと揺らしている。 「すまないが冴子、その話はまた挙式が終わってからゆっくり話そう」 「分かったわ。まぁ貴重な歩のタキシード姿を楽しみにしてるから」 「惚れるなよ」 「はいはい」 笑い合って冴子との電話を切り、もう一度葉月に問いかける。 「葉月、どうかした?」 「どうかした?って……それは私が聞きたいんだけど」 「うん? ああ、役職の件か?」 そう尋ねた俺を葉月は怒り剥き出しの瞳で見上げた。 そして小さく笑って言葉を放つ。
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