Act.35 Side Ayumu

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何かもやもやした気分だけれど、しぶしぶ俺は寝室へと向かった。 しばし様子を伺いつつ、暗闇で目を開いていたが結局葉月は寝室には来なかった。 あまり眠れないまま朝を迎えた俺は、キッチンで朝食を作る。 少しでも腹に入れておかないと一日持たないだろうしと、葉月に食べさせようとおにぎりを作っていると、客間から出て来た葉月と視線が絡んだ。 「葉月、おにぎり食べて」 「……ありがとうございます」 「うん。機嫌直った?」 その問いかけには、葉月はプイと顔を背けた。 「まだ怒ってんの?」 「別に怒ってません」 「怒ってるじゃん」 「怒ってないってば」 意地になって答える葉月につい笑いがこぼれそうになった。
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