僕、宇宙人なんだ。

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「高橋君だけに、教えてあげるよ。」 「え?何?」 「僕ね、宇宙人なんだ。」 「は?」 僕は突然の言葉に理解に苦しんだ。 自分がみんなから宇宙人と呼ばれているから、自虐の意味だろうか? 「約束する。僕は、高橋君だけは助けるから。 だって、僕も君に助けられたんだから、当然お礼はしなくちゃね。」 助けるとか、意味がわからない。その前に自分をなんとかしろよな。 嫌なことをされたら、もっと抗議すればいいのに。 僕は、田口君の言った意味がよくわからなくて、その言葉を 受け流したのだ。 小学5年生になると、田口君とは別々のクラスになり、出会えば話はするけど、だんだんと田口君とは疎遠になった。中学校に上がると、田口君は、もう居なかった。田口君はまた転校して行き、別の中学校に行くようになったからだ。 そしてあれから、10年の月日が経った。 僕は小学を卒業して以来、田口君には会っていない。 その田口君から、大学生になった僕の携帯電話に、電話がかかってきた。どうやって僕の番号を知ったのだろう? 「高橋君かい?ちょっと今から会えないかな?」 懐かしいけど、随分と急な話だ。僕は、たまたま暇だったので、 近くのファミレスで彼と会った。 「久しぶり。よく僕の電話番号、知ってたね。」 「うん、ちょっと君の友達に聞いたんだ。」 「元気だった?今、何してんの?僕はM大に通ってるんだ。」 「そうなんだ。僕は高校を卒業してお父さんの仕事の手伝いをしてる。」 田口君、大学には行かなかったんだ。 相変わらず、大きな頭で、目がぎょろっとしていて悪いけど、やはり風貌は宇宙人に似てる。 「高橋君、ちょっと一緒に来て欲しいところがあるんだ。」 田口君はそう切り出してきた。 「え?どこに行くの?まあどうせ暇だから、付き合うけど。」 「僕んち」 学生の時ですら、田口君の家に遊びに行ったことなどないのに なんで今更?ちょっと警戒した。借金の相談でもされたらどうしよう。 学生の身分だから、貸すお金なんて無いってはっきり言おう。 僕は田口君の車で、山の奥へと続く道をドライブした。
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