第8章:『七色のお菓子』

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 午前十一時三十二分。  犯人、確保。  森がパトカーに乗ったのを確かめると、喜納は、変わらず涼しげな面差しをしている十真に歩み寄った。 (本当に何なんだコイツは)  正体も本性も、闇の中にある少年。  上司の命令で、これまでさまざまな人物ーー警察関係者ではない一般人に、捜査協力をしてもらっていた。  だがこの子供は、あまりにも異質だった。  イレギュラーな存在、しかし姿も論理も言葉も美しい少年の、造られたように整った横顔に尋ねてみる。 「犯行の動機は?」 「……本人に聞いてください」   「お前が考える森の動機だよ、俺が聞きてぇのは。推測の域を出なくてもいいから」  おかしなことを言っている。  自覚済みだった。
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