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喜納は半ば愕然としていた。
あまりにも早すぎるからだ。
十真は流暢に、真相を、真実を話し出した。
「まず、被害者の宮脇先生の『消えたモミアゲ』についてです。
推測の域を出ませんが、限りなく真実に近いと思います。
といっても、直接的に真相にはつながらないんですか……」
そう注釈をつけてから、歩を進めて続きを語る。
「犯人はモミアゲコレクターでもなく、ましてや犯行の記念品としてモミアゲを奪ったわけじゃない。
それどころか、モミアゲを剃ったのは犯人じゃないんです。
ーーモミアゲ本人ですよ」
『モミアゲ』がゲシュタルト崩壊寸前だった。
喜納は脳内で文章からまぎらわしさをすべてはぎ取り、
「……宮脇自身が、モミアゲを剃ったってわけか?」
「そうです」
ややこしい。
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