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扉を開けた瞬間、森がこちらを振り向いた。
目も口も限界まで開き、心底驚いているようだ。
イタズラの最中に大人に見つかった子ども、そのものだった。
「というわけです、森さん」
靴を脱いだ十真は室内に入り、森と距離を縮めていく。
喜納は逃亡防止に、さりげなく玄関を己の身体でふさいだ。
透徹とした表情で、十真が言い放った。
「あれだけ大きな声でしゃべってたんです。聞こえていたでしょう?」
「……こは?」
森は低い声で呻いた。
「証拠は?」
少し、声が震えている。
「証拠……って、そんなこと言ってる時点で犯人じゃねーか!」
喜納が豪毅盛んに詰め寄った。
やはり推理小説のように、論理の決め手だけでは犯人は落ちない。
動かぬ証拠。
それが必要不可欠だ。
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