第1章

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次々と打ち上がる花火を見上げて微笑む彼女の横顔は今まで見た中で一番綺麗だ。ずっと憧れていた彼女がこんなに近くにいるなんて、少し前の僕に想像出来ただろうか。 「好きだ……」 思わず、口から想いが溢れ出す。彼女が不思議そうな顔をして、僕を見た。 「今、何か言わなかった?」 花火の音にかき消されて、聞こえなかったのだろうか。 「いや、何も言ってないよ」 慌てて否定すると、彼女は首をかしげた。 「好きって聞こえた気がしたんだけど」 彼女は僕の目をじっと見つめる。心拍数が跳ね上がった。 「うん。ずっと前から、好きでした」 勇気を振り絞って告げた。彼女は顔を手で覆い隠しーー笑い声を漏らした。 「何真剣な顔して言ってるの? ああ、面白くないなあ。もうダメか。あたしってそんな魅力的? どいつもこいつもちょっと優しくしたら、ころっと落ちちゃうんだもん」 「え」 予想外の言葉に、うまく反応出来ない。彼女は哀れむ視線を僕に向けた。 「ごめんね。もうあんたに用はないから」 ひらひらと手を振り彼女は人混みの中に消える。今までで一番大きな花火が空に咲き、瞬く間に散った。 「これで今年度の花火大会は終了となります。お帰りの際は気をつけてーー」 淡々としたアナウンスが響き渡っている。
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