第1章

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電車に乗り込み、二人ならんで座った。 家の近くの駅に着くまで、高村くんとの話はつきなかった。 今までこんなに男の子と話したことはないと思う。 小学校の高学年辺りから、誰が誰を好きなんて話が友達から出るようになった。 その頃は隣の席の男の子とよく話していた。好きとか嫌いとか考えたこともな無かったのに… 「夕貴ちゃんは山本くんのことが好きなんだよ。」 私が入っているのも知らないで、トイレで手を洗いながら友達が話しているのを聞いて以来、男の子と話すことが苦手になった。 中学になって、男の子に何度か声をかけられることがあった。 なんだかんだ理由をつけて話も聞かなかった。 ちゃんと聞いたのは田中くんだけ。 それがまた誰にでもいい顔するって噂になって… 男の子と話すのが怖くなった。 田中くんと友達として付き合ってるときも亜美が間に入ってくれることが多かったから、こんなにいっぱい話したのは高村くんが初めてかもしれない。 何故だか物怖じせず、普通に話せてることが不思議だった。
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