第1章

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「ばっかじゃない。」 不満の言葉が思わず出てしまった。 あれ?私こんなこと言えるんだ。 今まで人と喧嘩をしたことがない。気持ちを出すのは苦手だ。 人に合わせて当たり障りの無いことしか言わなかった。 ”ばっかじゃない“ なんて人を貶すような言葉を使ったことは、記憶にあるかぎり無い。 なんだか気持ちがスッキリする。 思ったことを口に出すってこんなに気持ちいいんだ。 「バカ? なんだよ、おとなしそうな顔して、意外と言いたいこと言うんだな?イメージ変わる。」 「私だって驚いてるよ。高村くんにイメージ崩された。」 「田中が夕貴って可愛くて、優しくて、健気で、守ってあげたくなるっていつも俺にノロケてたんだよな。 今の浅井を見たら田中が驚くぞ。」 「今の浅井って…高村くんは私の何を知ってるの?」 今日初めて話した高村くんに分かったようなこと言われたくない。
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