第1章

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「そう言うところ。 ハッキリ自分の気持ちを出してるだろ? 田中はそんな浅井を知らないだろ? 変な噂をたてられて、友達も離れていって、辛い筈なのに何も言ってくれないってアイツ悩んでたんだ。」 これ以上なんだかんだ言われるのが嫌で、彼から逃げた。 そんな私を心配してくれてた。 田中くんに会いたい。会ってありがとうって伝えたい。 あの頃、嬉しい気持ちはあったのに、女子の目を気にして自分の身を守ることで精一杯だった。 心配して来てくれることが嬉しい反面、そっとしておいて欲しいと思っていた。 あの時、差し出された手を取れたなら、何か変わっていたのかな? 立ち止まって考え込む私を、じっと見つめる視線に気付いて顔をあげると、高村くんが真剣な顔でこちらを見ていた。 「やっぱり、浅井は田中のことが好きみたいだな。」 「分からない。けど…高村くんの話を聞いて嬉しかった。」 「会わせてあげようか?」 「え?だって…もう彼女いるでしょ?」 「いないよ。浅井のこと引き摺ってるから… アイツ今でも浅井のことが好きだよ。」 どうしよう、急にそんなこと言われても戸惑ってしまう。 「考えさせて。」 「気持ちが決まったらいつでも言って…」 「…うん。」 駅に着き改札を抜けてホームに向かう。 話を終えたように話さなくなった高村くん その少し後を歩いてホームに向かった。 高村くんは私と田中くんを会わせるために、声をかけてきたんだろうか? 夏休みに田中くんと会ったと言っていた。その時に私の話が出たんだろうか?
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