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「そう言うところ。
ハッキリ自分の気持ちを出してるだろ?
田中はそんな浅井を知らないだろ?
変な噂をたてられて、友達も離れていって、辛い筈なのに何も言ってくれないってアイツ悩んでたんだ。」
これ以上なんだかんだ言われるのが嫌で、彼から逃げた。
そんな私を心配してくれてた。
田中くんに会いたい。会ってありがとうって伝えたい。
あの頃、嬉しい気持ちはあったのに、女子の目を気にして自分の身を守ることで精一杯だった。
心配して来てくれることが嬉しい反面、そっとしておいて欲しいと思っていた。
あの時、差し出された手を取れたなら、何か変わっていたのかな?
立ち止まって考え込む私を、じっと見つめる視線に気付いて顔をあげると、高村くんが真剣な顔でこちらを見ていた。
「やっぱり、浅井は田中のことが好きみたいだな。」
「分からない。けど…高村くんの話を聞いて嬉しかった。」
「会わせてあげようか?」
「え?だって…もう彼女いるでしょ?」
「いないよ。浅井のこと引き摺ってるから…
アイツ今でも浅井のことが好きだよ。」
どうしよう、急にそんなこと言われても戸惑ってしまう。
「考えさせて。」
「気持ちが決まったらいつでも言って…」
「…うん。」
駅に着き改札を抜けてホームに向かう。
話を終えたように話さなくなった高村くん
その少し後を歩いてホームに向かった。
高村くんは私と田中くんを会わせるために、声をかけてきたんだろうか?
夏休みに田中くんと会ったと言っていた。その時に私の話が出たんだろうか?
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