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お母さんが亡くなってたった一年で結婚?
それって…
胸がキュッと締め付けるように痛んだ。
高村くんの表情で分かってしまった。
きっと…
お母さんの亡くなる前から、お父さんはその結婚する人と付き合っていた。
酷い
酷すぎる
「既に子供もいるらしい。
母親が病気で苦しんでたのにアイツは女とイチャついてたんだ。
そんな奴らと同じ家に住むなんて、まっ平ごめんだ。」
高村くんの気持ちが伝わったように胸が痛む。
胸が苦しくて言葉が出ない。
高村くんは16才でそんな苦しい思いをしているんだ。
母親が亡くなっただけでも辛いのに、頼りの父親に裏切られて、どんなに苦しくて辛い思いでいるんだろう。
平凡だけど仲のいい両親の元、ヌクヌクとしている私には、彼の気持ちを測り知ることができない。
そんな私が何かを言ったら、高村くんの気持ちを逆撫でしそうに思えた。
「ごめんごめん、余計なことだった。今の話は忘れて。」
冷たい表情が消え、また今までの高村くんの笑顔に変わった。
その笑顔の裏には冷たい顔が隠れてることを知って、戸惑いが消えなくて頭をフルフルとふるだけだった。
それから高村くんの心の痛みが伝わってくるように、胸が苦しくてしかたなかった。
家の最寄り駅に着くまで、二人とも言葉を失ったように、ずっと景色を眺めていた。
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