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七海の目は恋する目だ。高村くんが七海を受け入れるのかは分からないけど、好きになってくれる人がいるって彼にとっていいことだと思える。
人に愛されることが彼に力を与えればいい。心からそう思える。
昼休み、七海が目を輝かせてやって来た。
「高村くんと話そうと思うんだ。」
「え、もう?」
「善は急げだよ。早くしないと他の子に先越されちゃう。」
「七海は積極的だね。」
「夕貴が呑気なんだよ。いい人はみんな狙ってるんだから…。ねえ、夕貴も一緒に来てよ。」
「えー、私も?」
「初めて話すのに一人じゃ不安だから…。ね、お願い!」
「邪魔じゃない?」
「ううん、心強い。」
昨日から高村くんと濃い話をしていた。
彼の恋愛の話にまで加わりたくない。
出切るなら七海一人で行って欲しいけど、拝むように頼まれて断りきれない。
高村くんはたぶん恋愛どころじゃない気がする。
それを七海に話せば、色々聞かれそうだから言えないし…
「…じゃあ…最初だけね。」
「やったー。夕貴いこう。」
七海に腕をとられて、渋々高村くんのクラスに向かった。
クラスから出てきた女子に七海が声をかけた。
「高村くんを呼んで貰いたいんだけど…。」
七海の言葉を聞いていた女子の目が険しくなった。
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