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「いいよ。」
「あのー、私も一緒だけどいいですか?」
七海が恥ずかしそうに後ろから顔を出した。
「ふーん、そう言うこと、別にいいよ。」
高村くんの後を追うように、七海と並んで中庭に向かった。
中庭の花壇の側に置いてある木製のベンチの前にくると
「座ったら?」
高村くんがベンチを指差し私達を椅子に促した。
「この子、岩村七海さん。
七海、こちら高村…えっと…」
「優人だよ。名前、覚えてなかったのか?」
高村くんが呆れたように口を尖らした。中学のときはちょっと顔を見たことあるくらいだし、二日前に一度名前聞いただけだし…覚えてなくても仕方ないじゃない。
心のなかではブー垂れているくせに作り笑顔を向けてた。
ここは七海の為に高村くんの機嫌を損なわないようにしなくては…。
「ごめん、覚えてなかった。
私は用があるから行くね。後は高村くん、よろしく。」
紹介はした…もう私の役目は終わり。
「え、夕貴、行っちゃうの?」
七海の背中を押して長椅子に座らせた。
「七海、座って。先生に呼ばれてるから…私は行くね。」
高村くんの背中も押して椅子にうながした。
「じゃあね!」
と言い残し、二人から離れた。
後は七海が頑張る番だ。
私がいて仲を取り持つより、きっと早く気持ちを伝えられるはずだ。
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