第1章

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「いいよ。」 「あのー、私も一緒だけどいいですか?」 七海が恥ずかしそうに後ろから顔を出した。 「ふーん、そう言うこと、別にいいよ。」 高村くんの後を追うように、七海と並んで中庭に向かった。 中庭の花壇の側に置いてある木製のベンチの前にくると 「座ったら?」 高村くんがベンチを指差し私達を椅子に促した。 「この子、岩村七海さん。 七海、こちら高村…えっと…」 「優人だよ。名前、覚えてなかったのか?」 高村くんが呆れたように口を尖らした。中学のときはちょっと顔を見たことあるくらいだし、二日前に一度名前聞いただけだし…覚えてなくても仕方ないじゃない。 心のなかではブー垂れているくせに作り笑顔を向けてた。 ここは七海の為に高村くんの機嫌を損なわないようにしなくては…。 「ごめん、覚えてなかった。 私は用があるから行くね。後は高村くん、よろしく。」 紹介はした…もう私の役目は終わり。 「え、夕貴、行っちゃうの?」 七海の背中を押して長椅子に座らせた。 「七海、座って。先生に呼ばれてるから…私は行くね。」 高村くんの背中も押して椅子にうながした。 「じゃあね!」 と言い残し、二人から離れた。 後は七海が頑張る番だ。 私がいて仲を取り持つより、きっと早く気持ちを伝えられるはずだ。
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