30人が本棚に入れています
本棚に追加
そのまま生徒玄関を出ようとすると、出入り口の前に長身の生徒が立っていた。
「…高村くん?」
名前を呼ぶと、辛い思いを抱えてるなんて微塵も感じさせない爽やかな笑顔をこちらに向けた。
うっ、この顔、モテる筈だ。油断してたら気持ちを持っていかれそう。
二日間、長い通学時間に話をしていたのに、彼の容姿に何も感じなかった。
ちゃんと見てなかったみたいだ。
「遅かったな?もう行ったかと思ったけど、待っててよかった。」
「え、何で?」
「連れないな。同じ電車なんだから、一緒に帰ろうよ。」
「う…ん。」
帰る方向も同じ、電車も同じ。変に意識する方がおかしいのかな?
七海にちょっとだけ後ろめたい気持ちになったけど、一緒に歩き始めた。
「お昼は、ごめんね。頼まれて断れなくて…。」
「別に。
俺がいいって言ったから…。」
「高村くんはそれどころじゃないって分かってたから、ちょっと不安だった。」
「その割りには二人を残してさっさと行ったけどな。」
苦笑いする高村くんに、返す言葉がない。
「岩村七海、可愛いな。」
「でしょ?性格いいし…いい子だよ。高村くんには支えになってくれる人が必要な気がして…七海ならって…。」
「浅井は支えてくれないの?応援するって言ったよな?」
最初のコメントを投稿しよう!