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その時から友達を作ることが怖くなった。
所詮私の回りの友達と呼んでいた子達は、その程度の付き合いだった。
その子達が離れていったことを悲しいとは思わないし、人の言葉に左右される友達なら作りたくもない。
友達に期待しなくなった。
用がない限り私からは話しかけない。
亜美の言葉を信じたクラスメートたちは、いつしか私を視界に入れなくなった。
思い出したくない中学生活。
高校にきてあの頃のことを忘れられると思っていたのに…
またあの頃の苦しさや胸の痛みが甦ってしまった。
沈みかけた気持ちを引き摺りながら改札をでると、先程の男子がまた私の横に来た。
「さっきは突然ごめん。」
「こちらこそ、あなたには関係ないのに、嫌な言い方してごめんなさい。」
中学の時の話はしたくないけど、この人に何かされた訳じゃない。
「いいんだ。中学の時、嫌なことがあったのは聞いてるよ。
俺は田中敦の友達の高村優人。」
「田中くんのクラスに行ったとき、見たことある。」
「覚えてくれてたんだ。
敦、心配してたんだ。夕貴が一人でいるのは俺のせいかもって…。」
田中くんは気にしてくれていた。彼は何も悪くない。
原因を作ったのは私…。
臆病で恋愛ベタな私が、友達を巻き込んだからあんなことになったんだ。
「田中くんのせいじゃないから…。それに…
中学のことはもう…」
「ああ、そうだな。嫌なこと思い出させてごめん。
なあ、電車ん中長いだろ?
今まで気づかなかったけど、多分いつも同じ電車だからよろしくな。」
「う、うん、よろしく。」
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